以下にリンクした本の感想の続き(ネタバレ有り)となります。
OLDIES 三丁目のブログ
斎藤家の核弾頭 篠田節子
http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20160928/p1
作者の篠田さんは女性だから、日本の旧来的なイエ制度に対して、女性の目からの批判的な描写を伺うことができます。
当初、斎藤家の家族は男性4名、女性6名の大所帯でした。
当主・総一郎の祖母で昭和40年生まれのリエは、自立した女性が社会で活躍していた時代のキャリアウーマンで、イエ制度に反発し、最後まで斎藤家にはなじまず、田中家の女性として亡くなりました。
当主・総一郎の母で、結婚以来斎藤家の嫁として振る舞ってきた孝子は、最後ドサクサにまぎれて渡辺家の女性に戻り、有賀の女性となりました。
長女の歩は自立心旺盛で曾祖母のリエによく似た子で、自分で徳島の山村留学を探し出し、出て行ってしまいました。
三女・小夜子は数奇な運命の下に生まれ、死んでいきました。彼女が犠牲となって斎藤家と世界を救ったのでした。
当主の嫁・美和子さんは、小夜子さんの中に、実家の母親の面影を見出します。
そしてその美和子さんは、不条理な結婚生活を続けているうちに少しづつイエ制度に疑問を抱くようになりました。
ついにぶち切れて離婚を宣言しますが、ドサクサの事件が重なってうやむやになり、結局は斎藤家の嫁として続けることになります。
次女・律はまだ幼く、これといった特徴はないのですが、今後は平凡に育って命をつないでいくのでしょう。
つまり、美和子さんが実家から受け継いだ美和子ー小夜子ラインによって、斎藤家も世界も救われたわけです。
美和子さんが小夜子に父親ではなく母親の面影を見出すのも象徴的です。
当主・総一郎は男系原理のイエ制度に凝り固まって暴走して奮闘します。
男性には攻撃的な性質があり、暴走する傾向があります。
種が存続するためには攻撃性も守備(平和)性も必要で、この2つの性質のバランスを取ることが大事なのです。
結局、男系だけでも女系だけでも片手落ちで、夫婦が助け合って家族を守ることが両家や子どもの幸せになり未来を築いていくということが描かれているのでしょう。
現在問題になっている、夫婦別姓問題や、男系・女系問題にも絡んでくるテーマだと思います。
(なお、美和子さんの実家の姓について、どこかに記述があったように思いますが、分厚くて探すことは不可能です。もし知っている方がおられましたら、お教え下さい。)
成り行き上、斎藤家は日本という国家に対し、抵抗に抵抗を続け、ついには原子炉や核兵器を製造して国家を脅迫するに至ります。
最後に日本国家が斎藤家に示した処遇は何か?!
廃炉処理のできない原子炉を持つ斎藤家を公海に放り出すという、放射能汚染水垂れ流しを思わせる方法であります。
斎藤家は今後、国家から追放された難民として新たな歴史を築いていくのでしょうか。
ある種、現代を予見していますね。
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