『20世紀少年』を1巻から読み直して細かく見ていこうと思っていたのですが、なかなか読み返す余裕がありません。
 代わりに映画をDVD鑑賞することにしました。
 
SF KidなWeblog
 映画「20世紀少年」第1章『終わりの始まり』
  https://sfkid.seesaa.net/article/482141965.html
 20世紀少年(第2章) 最後の希望 名場面総集編的な
  https://sfkid.seesaa.net/article/482293675.html
 
 そしてついに三部作の完結編!前2作での疑問点が終盤で一気に明かされる怒涛の展開!
 原作マンガと少々違った展開になりましたが、創作者としては複数考えられる展開から一つを選ぶという決断が必要であり、後からああすることもできたと思い直すこともあるでしょうから、原作マンガと違った結末になるということもあり得ることでしょう。
 作者自身が本作品は本格ミステリではないと断っているようで、あまり整合性にこだわらずに大まかに見るのが正しい鑑賞の方法かとは思うのですが、私も根が意地悪なもので、少々納得がいかない点を指摘させて頂きます。
 ということで、3回に渡ってネタバレ検討会を書かせて頂きます。
 
 本作最後のバーチャルアトラクションでのカツマタ君への謝罪と和解はいいエピソードだと思います。
 ただ、ここで登場するカツマタ君(神木隆之介)は、前2作とキャラが違っていませんか?
 前2作では少年時代の〝ともだち”は山根君という信奉者を引き連れて第三勢力を誇っていたように描かれていました。

e1f53230.png

 夜の理科室のシーンでは、ドンキー(吉井克斗)が窓から逃げるほど驚かせていたし、闖入してきたカンナ(平愛梨)を邪魔に思ったのか、ヤマネに「絶交」を命じていました。小学生が高校生を殺そうとするのはいくら何でも生意気過ぎると思ったのですが、ともかく生意気で威張ったキャラです。この時と第三章最後の神木隆之介とに一貫性がないように思います。
 同じように、大阪万博に行けなくなった時にサダキヨ(藤原薫)に八つ当たりしてお面を取り上げた時の暴君ぶりと神木隆之介とに一貫性を感じません。
(原作マンガでは理科室で首つりトリックを演じていたのはフクベエで、屋上から飛び降りようとしていたのはカツマタ君となっています。ところが映画版では両方ともカツマタ君ということになっています。)
 
 とはいえ、子どもが成長過程で性格が変わったり、場面によって性格が違うように見えるのは結構あるように思います。万引き犯に間違われていじめられているうちに性格が変わったのかもしれません。
(こんなこと書いてる私自身も時期によって・場面によって違うキャラになったことが多いように思います。)
(まあバーチャル・アトラクション自体、カツマタが監修したものなので、カツマタ君自身に対しては現実より美化されている面もあるのかもしれませんが)
 そして、第三部の子ども時代回想シーンではなぜかヤマネは登場しない!?前2作では「ともだち」とコンビを組んでいたように思うのですが、一体どうなったのでしょうか!?(万引き事件を機に離れたのでしょうか?)

 この映画では、ナショナルキッドのお面をかぶっている少年は3人います。
 一人目はサダキヨで、もう一人はカツマタです。そしてなぜか、ヨシツネも偶然同じ面をかぶっていていじめられます。
 カツマタ君がお面をかぶるようになったのは、大阪万博へ行けなくなったことを胡麻化すためにサダキヨの面をかぶることになったからです。
 少年時代の回想シーンでナショナルキッドや忍者ハットリくんのお面をかぶった少年が登場しますが、中に入っているのは誰なのか検討する必要がありそうです。
 
9ad2e1d6.png

 第二章のバーチャルアトラクションの中で、小泉響子(木南晴夏)がヨシツネに連れられて小学校の屋上で会ったお面をかぶった少年の正体は?
 お面を取ったら大人サダキヨ(ユースケ・サンタマリア)が登場して仰天!サダキヨにはUFOと交信するというオカルト趣味があったのでしょうか?

ea2a1d24.png

 
 第三章ではヨシツネとお面の少年が遭遇するシーンがあります。何でヨシツネはサダキヨの専売特許だったお面をかぶっていたのでしょうか?そしてこのお面の少年の正体は?
 大阪万博に行けなくなってサダキヨの面をかぶったカツマタがいじめられてねじ式ポーズで歩いているシーンが先に出ているので、これはカツマタだと思われます。大人ヨシツネもカツマタだったという前提で話しているようです。

 しかしカツマタがかぶっていたオーバーヘッドの包帯マスク、よく考えれば異常ですね。
 こんな素顔の分からん不気味なマスクマンが世界大統領になるなんてマンガの世界です(それは言わない約束か)。
 そして、目の穴がないようですがどうやって視覚を確保しているのでしょうか?メッシュになっているのでしょうか?
 そしてマスクをつけると声も変わる仕掛けがあるのでしょうか?それともあれは作り声なんでしょうか?

ee7ef45f.png

 
 カツマタが正体を表した時、さながら同級生再会シーンとなります。
 しかしカツマタは一回り若く見えます。心が子どものまま大人になると見かけも若く見えるのでしょうか。そしてヨシツネ(香川照之)が老けすぎます。一世代上のようにも見えます。見た目の加齢の速度は人によって違うんですね。


 ケンヂ(唐沢寿明)周辺ではカツマタの顔も名前も忘れ記憶にもないらしく、フクベエと間違えていました。
 しかしカツマタは同窓会に出席しているのだから、同窓会の幹事はカツマタの本名も住所も知っていて、だから招待状も郵送していたはずです。
 原作マンガではフクベエはフクベエとして出席していたのですが、映画版ではフクベエは死んでいてカツマタがフクベエになりすまして出席しています。

4cda359c.png


最初二人が連れ立ってやって来て後からフクベエ(カツマタ)が加わります。
 最初の二人はともだち教団やらよげんの書のことらを知っていてやけに事情に詳しそう。そしてこの二人が佐々木蔵之介演ずるカツマタを「フクベエ」と呼んでミスリードしています。
 何で二人はよげんの書やともだちマークのことを知っていたのか?原っぱの仲間だったのか?ケンヂもマルオもヨシツネもよく知らないようだ。
 無理に理屈をつければ、フクベエに「先に行ってこういう風に言え」と命じられていたとか。
 同窓会に出席している以上、部外者ではなく卒業後にフクベエの仲間に入った同窓生なのだろうか。
 
 ケンヂ達がカツマタ君を忘れていたというのは悲しいことですがあり得ることです。
 しかし、フクベエのことも忘れていたということはあり得るのでしょうか。
 いじめっ子のフクベエが死んだということは結構記憶に残りそうなものですが。
 ケンヂ・マルオ・ヨシツネの3人に加えて他の仲間達もフクベエのことを忘れていてカツマタとフクベエの入れ代わりのトリックが成立するというのはかなりあり得ない確率だと思うのですが。
(しかも寄せ書きでフクベエの友達の池上正人がフクベエの死について書いているようだし)
 そこら辺、原作からの改変でつじつまが合わなくなった点。力業で誤魔化しています。
 まあこんな小さなことはスルーするのが正しい映画の鑑賞法でしょうが。


3646d762.png

↑第1章でフクベエ(もといカツマタ)と共に落ちたハットリくんのお面をかぶった男。
 同窓会シーンで登場した謎の名無しの同級生(石橋保)らしい。
 まさか仲間のカツマタから裏切られるとは思っていなかっただろうに。
 手段のために仲間を簡単に切り捨てるような冷血漢だから友達ができないのではないですか?
  
6681d981.png

↑第一章ラストでケンヂと対面するフクベエ(もといカツマタ)。
 どうやら実際にいるのではなく、映写機のようなもので映しているようだ。

SF KidなWeblog
 映画「20世紀少年」第1章『終わりの始まり』
  https://sfkid.seesaa.net/article/482141965.html
 20世紀少年(第2章) 最後の希望 名場面総集編的な
  https://sfkid.seesaa.net/article/482293675.html

少年少女・ネタバレsalono(ネタバレ注意!)
 20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗 ネタバレ検討会(2)
  https://sfklubo.blog.jp/archives/12884393.html  
 20世紀少年 <最終章> ぼくらの旗 ネタバレ検討会(3)
  https://sfklubo.blog.jp/archives/12884394.html
 
20世紀少年少女SFクラブ
 浦沢直樹『20世紀少年』 2020年の新解釈(ネタバレ注意!)
  https://sfklubo.net/20thcenturyboys/
  
気ままな映画生活
 No.432 20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗5
  http://blog.livedoor.jp/z844tsco/archives/51662082.html
   ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ ★ミ

 ☆SFを考え、過去を考え、未来を考える
   20世紀少年少女SFクラブ
   SF KidなWeblog
   少年少女・ネタバレsalono(ネタバレ注意!)
 ☆健康生活のために!
   快眠・早起き朝活・健康生活ブログ
 ☆相互紹介
   OLDIES 三丁目のブログ
   市井學人のツイッター保管庫
   万年週末占い研究青年の覚え書き